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2016年10月27日 (木)

憲法問題は前文こそ重要

 太平洋戦争に敗れてから71年、太平洋戦争を始めてからは74年経過した。いま74歳以下の人は、全く戦争を知らない人たちという事になる。現在、75歳以上の国会議員何人いるのだろうか? 戦争を知らない、戦争を体験したことも無い国会議員がほとんどだろう。そういった国会議員が「軽々に憲法問題を論議してもよいのだろうか?」という疑問が湧いた。私は、憲法改定には賛成だ。しかし、改正とは俄かに賛成しかねる。

 自民党は、かねてより「マッカーサーGHQに押し付けられた憲法だ」と言ってはいたが、長い間なぜか放置し続けていた。当時、野党になった自民党は、よほど暇だったのか「日本国憲法改正草案」なるものを出してきた。

 改憲議論の中心は、やはり第9条なのだろう。その他、誰の差し金か知らないが、立憲主義に反するような国民の義務を忍び込ませている。それにしても、事あるごとに「占領軍の手によって作られた」と言うから、「大幅に変えたのか?」と思ったら、現代仮名遣いに直したのを除けば、殆ど同じなのはどうしてなのか、疑問に思う。報道によれば、この自民党改憲草案は棚上げになったと聞くが「いつの間にか棚から落ちていた」とも限らないから注意が必要だ。

 改憲論議は、与野党対立の構図になっているが、そもそも与野党を超えた議論であるべきことは言うまでも無い。ともすると、議論の中心は第9条になると思うが、私はそれにも増して重要なのは‟憲法前文”だと思う。この前文こそ憲法の理念を説いているものである。事実、自民党の草案も、本文というか条文は殆どそのままだが、前文は現行のものから一新され、理念はガラリと異なったものになっている。以下に、現行の前文と自民党草案の前文の概略を比較してみる。

 現行の前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とある。すなわちわが国の憲法は主権在民が根本で、政府に主権はないことをハッキリ示している。対して自民党草案は「国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される」とある。一応、国民主権の下とは書いてあるが、主語は立法、行政、司法のようだ。しかも、三権に基づいて統治されるのは国民ではないか。統治されるとは三権によって国民が支配されるとも読み取れるから、戦前の統治機構に逆戻りである。

さらに現行草案は「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」とある。すなわち、国政は国民の信託によって行われ、福利は三権ではなく国民が享受する。そして、これに反する一切の憲法、法令などは認めないとする、国民にとって極めて重要な文言である。これに対して自民党草案は、三権を縛るような文言を一切排除している。すなわち「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」という。これを読むと当然のような気もするが、いつの間にか三権の義務が抜け落ち、国民の義務に代わっている。ここに自民党の狡賢さが垣間見える。特に「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り…」とあるが意味不明だ。誇りと気概で国や郷土を国民に守れというのだろうか。

 憲法改定は三つのことを守って欲しい。第一は、立憲主義を貫くこと。第二は、「新しい判断、新しい解釈」と言われないような緻密な条文にすること。間違っても内閣法制局長官などに解釈を求めることの無いように、誰が読んでも納得のいく条文であるべきだ。第三に、第9条の改定については、これからのわが国の行く末を決める重要な問題であるだけに、若い人の意見も取り入れて貰いたい。

 私は、敗戦時10歳。集団疎開で焼夷弾の空襲を受け、物凄く怖い思いをしたことを今でもハッキリと覚えている。「戦争を知らずして平和を語れない」とは言うものの、実際に改憲論議をする人は殆どが戦争を知らない人なので、正直なところ一抹の不安がある。安倍自民党も、姑息な手段を取らずに、国民的議論を巻き起こすように期待したい。

 さて、私事で恐縮ですが、このところ健康面ですぐれず、しばらくの間休稿したいと思います。ただ、身体の具合がいい時で、何かを書きたい意欲が湧いたならばブログの更新をしたいと思います。ありがとうございました。

 

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